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コンサルの成否は、頼む前に決まっている

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コンサルの成否は、頼む前に決まっている

コンサルの成否は、頼む前に決まっている

2026/09/30

経営コンサルタントは、本当に使えるのか。高いお金を払っても、きれいな資料と一般論を置いていくだけではないか。そんな疑問を持ったことのある経営者は、少なくないと思う。正直に言えば、その疑いが当たっているケースもある。

 

一方で、コンサルを使って本当に会社を変えた経営者もたくさんいる。同じ業界、似た規模の会社でも、成果が出るところと出ないところがはっきり分かれる。この差は、いったいどこから来るのか。

 

先に結論を言えば、コンサルを使って成果が出るかどうかは、コンサルの能力よりも、依頼する前に経営者が目指すゴールを明確にできているかで決まる。

 

30年近くこの仕事を続け、独立して自分でも会社を経営するようになった今、コンサルという仕事の価値と、その価値を引き出す使い方について、一度きちんと書いておこうと思う。

 

コンサルの価値は何に変わったか

 

まず押さえておきたいのは、コンサルの価値が時代とともに移ってきたということだ。情報そのものから、情報に基づく分析へ。そして今は、人と組織を動かすことへ。

 

私がこの業界に入った30年ほど前は、情報そのものに価値があった。極端に言うと、海外の先進企業の事例を知っている、というだけで対価をもらえた時代だ。やがて価値は、競合調査や店舗でのオペレーション観察、現場社員へのインタビューといった、足で稼ぐ一次情報と、それに基づく分析・提案へと移っていった。

 

しかし今は違う。ネットやAIが普及し、情報も、情報に基づく分析や示唆も、その気になれば誰でも手に入るようになった。SNSで一次情報(に近い情報)も容易に入手できる。情報を並べただけの提言に、かつてのような価値はない。下手をすれば、クライアント自身がAIで調べて計画をつくり、実行してしまう。

 

では、今のコンサルの価値は何だろうか。私は、人の意思決定や意識に働きかけ、人を動かし、結果として会社を動かすこと。そこに移ったと考えている。そしてこれは、技術がどれだけ進んでも、簡単には代替されない。理由は単純で、人は自分で自分を変えるのが、どうしても難しいからだ。

 

ジムを思い浮かべてほしい。正しいトレーニング方法も食事法も、今やスマホで無料で手に入る。運動や食事を管理するツールもある。それでもジムやトレーナーはなくならない。伴走してくれる誰かがいて、時に励まし、時に突き放し、それでも諦めずに続けた先にしか結果が出ないことを、みな知っているからだ。コンサルとは、経営におけるその伴走者のような存在ではないか。最近私は、そう思っている。

 

コンサルで失敗する会社の三つの共通点

 

ただし、伴走者を雇えば誰でも変われるわけではない。同じコンサルを使っても、成果が出る会社と出ない会社がある。その差は、コンサルの能力よりもむしろ「入口」にある。プロジェクトが始まる前に、何がどれだけ決められているか、だ。

失敗する会社には、三つの共通点がある。

 

一つめは、達成したいゴールのイメージがないこと。「コンサルに頼めば、何かいい感じの提案をしてくれるだろう」。この期待から始まった仕事は、たいていうまくいかない。

 

二つめは、任せきりでコミットが弱いこと。プロジェクトの担当者も責任者も曖昧なまま、高いお金を払っているのだからコンサルが何とかしてくれるだろう、という姿勢では、動くものも動かない。

 

三つめは、決められないこと。それなりの提案を出しても、最終報告のあとに「社内で検討します」のまま音沙汰がなくなり、結局は放置される。こういうケースを、私は何度も見てきた。

 

成功する会社が依頼前に明確にしていること

 

成功する会社は、その裏返しだ。プロジェクトオーナーに強い意志と明確なゴールがあり、コンサルに何をさせたいかがはっきりしている。最初から完璧である必要はない。むしろ、コンサルと課題認識やゴールをすり合わせ、何が足りないか、どう役割分担するかを事前に詰めた上で始める会社ほど、うまくいく。

 

もうひとつ、見落とされがちだが大きいのが、「何をもって成功とするか」を社内で合意できているかどうかだ。ここがずれていると、コンサルは十分成功だと思っているのに社内では不満が残る、あるいはその逆、ということが起きる。

 

以前、ある大手消費財メーカーで、主力ブランドの新しいマーケティングプランづくりを支援したことがある。プロジェクト中は担当者や担当役員と議論を重ね、プランを練り上げた。ところが、最終報告会で、社長からプランにいくつか指摘が入った。すると担当役員はそれに敏感に反応し、「だから言ったじゃないですか」と言わんばかりの発言をした。まさに背後から撃たれた格好だ。

 

後日話をしていくと、社長と役員の間で、プランの前提となる売上増加の規模感が食い違っていた。そこが社内できちんと議論され、合意されていなかったのだ。もちろん、役員がそれを口にすることはなかった。その場は私が悪者を引き受けて社長に謝罪し、収めた。成功の定義が社内で共有されていないと、どれだけ中身を詰めても、最後の最後でひっくり返る。

 

そして最後は、身も蓋もないが、相性である。濃い対人のやりとりが必要な仕事である以上、相性のいい相手とは、やはりうまくいく。これも、事前のすり合わせをきちんとやれば、ある程度は見極めがつく。

 

コンサルを使いこなす経営者がやっている4つのこと

 

では、経営者はコンサルをどう使えばいいのか。これまでの話の裏返しになるが、要点は四つある。ゴールの言語化、自社でできることの見極め、選定プロセス、そして始まってからの関与(コミット)だ。順に整理しておきたい。

 

1. 達成したいことを言語化する

 

まず、自分が何を達成したいのかを言語化する。ここが出発点になる。もし、それが自分でもうまく言葉にできないのなら、その言語化から付き合ってくれるコンサルを見つけて、まずそこを一緒に固めるのがいい。悩みが漠然としている段階こそ、外部の頭が役に立つ。

 

2. 自社だけでできないことを見極める

 

次に、そのゴールに対して、本当に自社だけではできないのかを見極める。できないとしたら、足りないのは何か。人手(リソース)なのか、専門性なのか、経験値なのか。ここも、自分で判断しきれなければ、コンサルと議論しながら詰めていって構わない。そこまでクリアになれば、何を頼むべきか、コンサルに出させるべき成果は何かも、おのずと見えてくる。

 

3. 選ぶプロセスを惜しまない

 

三つめに、選ぶプロセスを惜しまない。私は、単純にコンペをして即決するのは、実はあまり得策でないと思っている。特にテーマの重い案件ほど、複数社と事前に密度の濃い議論を重ね、提案書とプレゼンに加えて、できれば各社と一度ずつブレストの機会を持った上で、最終判断する。手間はかかる。だが、この手間こそが、成功するプロジェクトの下地になる。

 

4. 始まってからも任せきりにしない

 

そして、始まってからも任せきりにしない。多忙を理由に、キックオフのあとは報告会だけ、という進め方をたまに見かけるが、それではどこかに必ずズレが生じる。面倒でも小まめに顔を合わせ、進捗を確認し、軌道修正を重ねていく。やってみれば、当初の想定と違うことは普通に起きるからだ。ただし、その軌道修正ができるのは、当初のゴールが明確だったからこそ、という点は忘れないでほしい。ゴールが曖昧なままでは、修正すら適切にできない。

 

最初に問うべきは「どのコンサルか」ではない

 

最後に、ひとつだけ。コンサルとは、腹を割って議論する相手だ。遠慮はいらない。ただし、お金を払っているのだから言うとおりにやれ、いい感じにやってくれ、という姿勢も違う。互いに敬意を持ち、同じゴールに向かって、率直に意見をぶつけ合う。伴走者というのは、そういう関係でこそ力を発揮する。

 

だから、コンサルを使うかどうかで迷っているなら、最初に問うべきは「どのコンサルに頼むか」ではない。「自分は、この会社をどこへ動かしたいのか=目指すゴール」だ。その答えを自分の言葉で持てたとき、コンサルは間違いなく、強力な伴走者になる。

筆者について

鬼頭孝幸 株式会社ビジネス・プラットフォーム 代表取締役/経営戦略コンサルタント

東京大学卒業後、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社。ベンチャーの起業・売却を経て、ローランド・ベルガー、デロイト トーマツ コンサルティングなど複数のファームでパートナーを歴任し、独立。約30年にわたり経営コンサルティングに携わり、アパレル、化粧品などの消費財、小売・流通、企業・事業変革、DXの領域を得意とする。現在はコンサルティングとともに、買取専門店など複数の事業を自ら展開する経営者でもある。詳しいプロフィールはこちら。

 

ご相談について

依頼するゴールがまだ言葉になっていない段階や、そもそもコンサルを使うべきかを見極めたいという段階から、ご相談をお受けしています。目指すゴールを明確にするところから一緒に始めたい方は、お問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。


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